慢性疾患を治療する上での課題

高齢化が進むにつれ、国内では慢性疾患の患者が増加している傾向にあります。慢性疾患とは、長い期間をかけてゆっくりと発症していき、治療にも時間のかかる疾患の総称です。代表的な例としては、糖尿病や高血圧症などがあげられます。原因の多くは食生活や運動などの生活習慣です。また、いくつかの慢性疾患を併発していることもあります。特に、糖尿病患者の40~60%は高血圧症も発症していると言われています。慢性疾患を治療する上での課題点は、発症するまでにも治療にも時間がかかることです。血液検査や尿検査で慢性疾患と言われても自覚症状を伴わないことも多いので、治療の必要性を十分理解していない患者もいます。すぐに治療を開始すれば薬でコントロール可能だった段階でも、治療に腰が重く先延ばしにしているうちに重症になることもあります。

また、効果がすぐには出ないことで治療を中断してしまう患者もいます。本来、慢性疾患は発症したら一生涯にわたり治療を続けなければならないにも関わらずです。今後さらに高齢者が増えていく日本では、慢性疾患の治療は大きな課題となっています。このような問題を解決するためには、看護現場から積極的に患者に寄り添うことが大切です。健康診断などで慢性疾患に該当した方には、早めの段階で病院側から治療を促すと良いでしょう。加えて、地域のかかりつけ病院などと連携を取ることも必要といえます。慢性疾患では長期的な治療が欠かせないため、診療科にとらわれずに患者の情報を共有することが大切です。